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離婚慰謝料の金額13~子どもからの慰謝料請求

父親と職場の女性との不倫が発覚した場合、今までの家庭環境は一変し、夫婦間の喧嘩が絶えない状況になることも多いでしょう。両親以外に頼る術を持たない子どもは、両親のことを心配し、不安に苛まれる生活を強いられることになります。不貞行為の最大の犠牲者は子どもであるとも言えます。
今回は、両親の一方の不貞が原因で両親が離婚した場合に、子どもが不貞の相手方に慰謝料を請求することができるかについて、見て行きたいと思います。

子どもからの慰謝料請求

最判昭和54年3月30日
事件の概要

夫と妻の婚姻期間は約30年、うち別居期間約15年。夫婦の間には子どもが3人います(判決当時成人2名、未成人1名)。この夫婦は昭和23年に結婚、同年に第一子、その10年後に第二子が生まれています。
夫は第二子が生まれる少し前に銀座でホステスとして働いているA子と知り合い、肉体関係を持ちました。第二子が生まれた2年後に、夫とA子の間にも子どもが生まれ、その6年後、夫と妻の間に第三子が生まれました。
その頃、妻に夫とA子の関係が知られるところとなり、第三子が生まれた年の9月に、夫は家を出て、A子と同棲するようになり、その状態が10年以上継続しました。
そこで妻とその子どもたち3人が、A子に対して慰謝料を請求しました。

裁判所が認めた慰謝料の金額

3人の子ども達に対して 0円(請求金額:不明)

裁判所は、妻に対しては慰謝料の支払いを認めましたが、その金額についてはさらに審理を尽くす必要があるとして、原審(高等裁判所)に判断を戻しています。 子ども達に対する慰謝料については、裁判所は原則として認めないという判断を示しました。その理由は以下の通りです。

妻及び未成年の子がある男性と肉体関係を持った女性が妻子の元を去った男性と同棲した結果、その子が日常生活において父親から愛情を注がれ、その監護、教育を受けることができなくなったとしても、監護や教育を行うことは、愛人の女性と同棲するかどうかにかかわるものではなく、父親の意思によって行うことができるのであるから、愛人の女性と同棲の結果、未成年の子が事実上父親の愛情、監護、教育を受けることができず、そのため不利益を被ったとしても、そのことと愛人の女性の行為との間には相当因果関係がないものである

もっとも、絶対慰謝料が認められないというのではなく、愛人の女性が同棲を積極的に求める、父親が子のもとに戻ろうとするのを反対する、といった特別の事情がある場合には認められる余地があるとしています。本ケースでは、特別な事情は認められないという判断がなされました。

確かに例外として挙げられてはいますが、慰謝料が認められるためには、愛人の女性が父親に同棲を積極的に求めたり、帰るのを阻止したという証拠を子の側で提出しなければならないので、非常に困難であると思われます。


更新 2015年3月24日
      

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