離婚したい人も、離婚したくない人も、知ればきっと役に立つ

行方不明の中国人妻と離婚する方法

Q.

 三年前に中国人と結婚したのですが、妻がオーバーステイで強制送還されてしまいました。それからは全く連絡のとれない状態が続いています。離婚するには、どうすればいいですか?

(50代:男性)

A.

 まず、国境を越えて離婚する場合で夫婦のどちらかが日本に居住している場合には、「法の適用に関する通則法」に従い日本法の適用を受けることになります(同法27条)。
 ですので、今回の場合も日本法の適用があります。

 日本で離婚手続を進めるとして、離婚をする場合には原則として訴訟に先立ち調停を申し立てる必要があります(家事審判法18条1項。これを「調停前置主義」といいます。)。
 もっとも、配偶者が所在不明などやむを得ない事情がある場合には、例外的に調停を申し立てることなく裁判を起こすことができます(同2項但書)。

 通常訴えが提起されると、裁判所は訴状を相手方に送付します(民事訴訟法138条1項。これを「送達」といいます。)。
 ただし相手方が所在不明であるなど、訴状等を相手方に届けることが不可能な場合には、裁判所にその旨を申し立て、裁判所がこれを認めれば、裁判所が訴状等を保管している旨の書面を裁判所の掲示板に掲示し、2週間を経過すれば、訴状が送達されたとみなされる措置がとられます(民事訴訟法110条112条。これを「公示送達」といいます。)。
 もっとも公示送達は相手方に訴状が届いたとみなした上で、相手方不在のまま裁判を進めることになります。そこで民事訴訟法は相手方保護のために公示送達を利用するための厳しい要件を設けています(同法110条1項各号参照)。
 例えば、公示送達の申立には、資料を添付して相手の居所が不明であることを証明しなければなりません。住民票・戸籍の附票などのほか、警察への捜索願、返送されてきた手紙、親類・友人等への問合せの結果、実際に出向いて調べた報告等々をつける必要があります。勤め先や立ち回り先がわかれば、そこに訴状等は送達されることになります。
 また、今回の様にたとえ相手が海外にいても、それだけでは公示送達は認められません。戦争や自然災害などの影響で送達できない、あるいは、大使館などに嘱託して6ヶ月以上経過しても送達できない場合に、はじめて公示送達が認められます。
 相談者の場合も上記の要件を踏まえた上で公示送達を利用されるとよいでしょう。

 次に、裁判離婚をするためには離婚原因が必要となります。今回の様に配偶者が長期間所在不明の場合には、「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)を離婚原因とすることが多いようです。もっとも、相談者の配偶者の所在不明はそもそも強制送還によるものですので「悪意」といえるかどうか難しいかもしれません。
 そこで二次的な主張として、妻が強制送還されて以後数年間全く連絡が取れないことによって、既に婚姻関係は破綻しており婚姻を継続することが非常に困難である(同5号)ことを主張されるとよいでしょう。

 以上のとおり、少なくとも公示送達が認められかつ裁判において離婚原因が認められれば相談者は離婚することができます。


更新 2012年3月14日
      

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