離婚したい人も、離婚したくない人も、知ればきっと役に立つ

離婚して10年たった後でも旧姓に戻すことはできる?

Q.

 離婚して10年近く経ち、当時学生だった息子達の学校の事情や私の勤め先の事情で元の主人の姓のままでいましたが、長男も所帯を持ち次男も社会人で独立した今、元の主人の姓を名乗る必要性が無く、今更ながらですが旧姓に戻したいのですが、正当な理由がないと戻せないものでしょうか?

(40代:女性)

A.

 あなたが元の主人の姓を旧姓に戻すには、「やむをえない事由」(戸籍法107条1項)が必要となります。

 では、「やむをえない事由」とはいかなる場合をいうのでしょうか。
 この点、裁判所の判断は分かれています。
 まず、(1)厳格に解するものとして『「やむを得ない事由」というのは、当人にとって社会生活上氏を変更しなければならないそのやむをえない事情があるとともに、その事情が社会的、客観的にみても是認せられるものでなければならない場合をいうものと解すべきである』との判決があります(大阪高判昭和30年10月15日)。これは、離婚と通常の氏の変更を同様に扱うものです。

 一方で、(2)離婚という事情を加味して緩和された基準を用いるものとして「離婚後、婚氏を続称したために・・・日常生活上の不便・不自由を被っていることの認められる」場合には「やむを得ない事由」があるものと解する判決(大阪高決平成3年9月4日)があります。この(2)判決では、婚氏続称後11年経っていたにもかかわらず、同居する実父母と姓が異なることにつき説明しなければならない煩わしさや郵便物が同姓の別人の家に配達されることがしばしばあるなどの日常生活上の不便・不自由を理由として、婚姻前の氏への変更が認められています。

 あなたについても、日常生活上の不便・不自由が認められれば、(2)判決の基準により「やむをえない事由」があるとして、旧姓に変更できる可能性があります。
 手続きとして「家庭裁判所の許可」(戸籍法107条1項)を得る必要がありますので、家庭裁判所に「氏の変更の許可申立書」を提出して、その許可を得れば、旧姓に戻すことができるでしょう。


更新 2008年6月26日
      

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