離婚したい人も、離婚したくない人も、知ればきっと役に立つ

虚偽の主張で離婚訴訟を起こす夫、損害賠償請求できない?

Q.

 離婚調停を起こしましたが、財産分与の金額面で折り合わず、不成立になりました。ところが、今度は夫が離婚訴訟を起こしました。

 主張を読むと、よくも裁判に訴えたと思うような内容で、ことごとく嘘で固められています。以前から嫌がらせを受け、精神的にまいっている上に裁判まで起こされ、大変ショックを受けました。

 もし、裁判で私の主張が認められた場合、裁判を起こされたことによる苦痛の賠償を、慰謝料として請求できるでしょうか。

(50代:女性)

A.

 訴訟を提起し、その主張として虚偽の内容を陳述することは、現実にはしばしば行われることです。

 何のためにそのような主張が行われるかというと、それは勝訴判決を得たいがために他なりません。では、そのためであれば虚偽の陳述も許されるのでしょうか。

 この点、民事訴訟法上、直接に当事者の真実義務を定めた規定はありません。しかし、209条(虚偽の陳述に対する過料)は当事者の真実義務を前提とした規定と解され、当事者には真実に基づいた陳述をする義務が認められると考えます。

 したがって、いくら裁判における終局目的を達成するためであっても、故意に虚偽の主張をすることは、真実義務に反し、許されません。


 では、真実義務に違反した場合、どのような制裁が考えられるでしょうか。そのような虚偽の主張を理由として、後日、何らかの損害賠償を求めることができるでしょうか。

 これについては、訴訟遅延の場合の訴訟費用の負担、他の陳述の信用性の低下などが考えられます。しかし、相手方当事者が精神的損害を負った場合の損害賠償義務までが含まれるかといえば、消極的に考えざるを得ないと思われます。

 ただし、法廷での証言が、それ自体不法行為と見られるような特別な場合には、別途不法行為責任を追及することも不可能ではないでしょう。


更新 2006年10月10日
      

ページトップへ