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妻に対する債権と養育費を相殺して、養育費を払わないのはアリ?

Q.

 妻と5年前に協議離婚しました。当時、夫婦で連帯債務者として住宅ローンを組んでおり、離婚後は妻が半額払えないので、子供の養育費の代わりに私が全額払っていました。ところが、今になって養育費払ってと電話して来ます。どうしたらいいですか?教えてください。

(40代:男性)

A.

 夫婦で連帯保証人として住宅ローンを組んでいた場合、対外的にはそれぞれが全額を支払う義務を負いますが、連帯債務者間では、負担部分を超える支払いをした場合には、求償をすることができます(民法442条)。したがって、本来妻が半分支払うべきであったローンを相談者が支払った場合には、相談者は妻に対してローンの半額分の債権(求償権)を取得することになります。

 しかし、相談者が元妻に対して求償権を持っていたとしても、それと養育費を相殺することはできません。
 養育費の性質は,子供が親から「扶養を受ける権利」であり、これを「処分」することはできません(民法881条)。そして、この権利は重要な一身専属権として差押が禁止されています(民事執行法152条1項1号)。さらに、差押禁止債権については,債務者側(養育費を支払う側)からの相殺が禁止されています(民法510条)。
 したがって、養育費を支払う側である相談者が元妻に債権を有しており、形式的には肩代りされた借金と養育費を払いあう関係にあっても、それらを相殺することはできないのです。
 ですので、今後は元妻との協議や調停において養育費の額を決めた上でそれを支払い、それとは別に妻に対して債権を行使し支払いを求めていくことになるかと思われます。


更新 2012年1月30日
      

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