離婚したい人も、離婚したくない人も、知ればきっと役に立つ

障害のある兄の面倒、離婚した父と母のどちらが面倒みるべきでしょうか?

Q.

 父と二人暮らしの私の家に、20年以上前に離婚した母から連絡があり「一時的に長男(私の実兄)を引き取ってくれないか?」と言われ引き受けたのですが、その後5年が経っても母が一向に兄を引き取ってくれません。
  もともと兄は統合失調症でまともに就職が出来ず、アルバイトさえも途中で辞めたりクビになったりして働く事が出来ません。現在も、兄と私と父の3人暮らしが続いています。父はすでに定年退職し、年金暮らし。一方、私は自営業なので収入に変動があり、父と二人暮らしでも大変なのに、そこに障害を持つ働かない兄に居候されると経済的に圧迫され、このままでは実家を売却しなければならず、共倒れになってしまいます。
  兄を母に引き取ってもらう方法、もしくは兄を独り立ちさせる方法は何かありませか?兄は一時期、生活保護を申請し独立しようと役所に行きましたが、行政に拒否されたようです。

(30代:男性)

A.

 お兄さんを誰が引き取るかは、まずはご家族全員でよく話し合い、それでもまとまらなければ家庭裁判所に調停審判を申し立てるべきでしょう。また、お兄さんの生活支援のために、行政サービスを利用するべきです。
  最初に、お兄さんを誰が引き取るかという扶養義務の問題についてご説明いたします。
  扶養義務は、直系血族および兄弟姉妹には当然に生じるので(民法877条1項)、あなたにはお兄さんの扶養義務がありますし、それはお兄さんの父母も同様です。
  このように扶養義務者が複数いる場合、扶養の順序については、まずは当事者(すべての扶養義務者扶養権利者)の協議で順序を決めるとされています(民法878条前段)。
よって、まずはお兄さんを含めた家族全員でじっくりと話し合う必要があるでしょう。

 話し合いでも決まらないとき、または協議することができないときは、家庭裁判所に家事調停か、家事審判を申し立てると良いでしょう。(民法877条2項、家事審判法9条1項乙類第8号、17条)。
  家事調停では、高齢者を扶養すべき者や、扶養の程度・方法(金銭・身の回りの世話・分担)、扶養者を別の人に変えることなどの問題について、家庭裁判所を間に入れて、当事者同士が話し合うことができます。それらについて家庭裁判所が命令を下すのが、家事審判です。
  弁護士に頼まなくても利用することができ、訴訟ではないため費用も申立人が申立書に貼る印紙代1200円だけです。
  家庭裁判所が扶養の程度・方法を決めるときには、「扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して」程度・方法を定めることになります(民法879条)。
  メールの事情の限りでは判断しかねますが、ご両親ともに高齢のようですから、可能性としては、あなたに扶養義務があると判断されることもあるといえるでしょう。

 次に、生活保護とは、できることややれることはすべてやったけれども生活のメドが立たないという場合に初めて適用となるものですが(憲法25条)、不可能を強いるものではありません。
  かつて行政に生活保護を拒否されたことがあるとしても、福祉事務所によっても対応が違うかもしれませんので、再度相談に行ってみてはいかがでしょうか。
  拒否されたとしても、その理由を詳しく聞くとともに、こちら側の事情を話してみるべきです。
  仮に生活保護が認められなかったとしても、通院医療費などの経済的負担を軽減して医療を受けやすくする自立支援医療制度(平成18年4月1日から施行)や、障害年金など経済的な援助制度があります。
  また、援護対策としては、居宅介護やデイサービスなどの精神保健福祉サービスを当人の居住する地域で提供する「障害福祉サービス」もあります。
とても大変だとは思いますが、どうかおひとりだけで抱え込まず、各市町村の窓口、保健福祉事務所、及びかかりつけの医師に相談してみてはいかがでしょうか。


更新 2009年5月18日
      

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