離婚したい人も、離婚したくない人も、知ればきっと役に立つ

夫の浮気相手の会社に内容証明を送っても大丈夫?

Q.

 私たちは7年間の事実婚を経て、今年の7月に入籍しました。入籍前、夫が部下の女性と会っていることが分かったので、その女性に、「来月入籍するので個人的にあうのを止めてほしい」と伝えました。
 ところが先日、夫が突然、「好きな人がいるので離婚したい」と言って、家を出て行きました。
 探偵事務所に調べてもらった結果、相手はやはりその女性で、夫の別居先のアパートに出入りをしたり、駅まで女性を送るとき、手をつないで歩いたりキスをしたりしたことが分かりました(肉体関係の証拠はつかめていません。金銭的理由でそれ以上調査ができませんでした)。
 おそらく夫は、その女性に入籍の事実を話していないと思います。会社宛に「付き合いをやめてほしい」という旨の内容証明を送るつもりなのですが、名誉毀損などで、逆に訴えられることはありますでしょうか。

(30代:女性)

A.

 女性(仮にAとします)の行為は、配偶者のある男性と肉体関係を結んだというもので、民法上の不法行為709条)にあたります。
そこで、あなたは不法行為に基づく損害賠償を請求することができますし、不貞は離婚原因(民法770条1項1号)ともされていますから、夫の不貞行為の相手であるAに、夫との交際を止めるよう要求することもできます。
 
 このような要求をするとき、内容証明郵便がしばしば利用されるわけですが、職場に送付することには一考を要します。
 もちろん、郵便の表書きから、Aが上司と不倫関係にあることが明らかになるわけではありません。しかし、会社に届いた郵便を最初に受け取る従業員には、差出人が「あの人」の妻や家族であると分かるかもしれません。
 そうすると、債権の取立てや慰謝料の請求など、何らかのトラブルがなければ個人間で内容証明が利用されることは少ないという現在のわが国の状況を考慮すると、後日仮にAが会社を辞めるような状況になったとき、「内容証明が送られたために不倫が社内に知れ、職を失った」等と、言いがかりをつけられる可能性がないとはいえないのです。
 そこで、こちらの立場を少しでも不利にしないために、始めから会社に送ることは控え、A本人に住所を教えてもらって、そこに送ることをお勧めします。こちらに主張すべき権利がある以上、悪びれる必要はなく、「郵便物を送りたいので、住所を教えてほしい」と告げればいいと思います。相手が拒否したときに、職場に送ればいいのです。
 ちなみに、訴えが提起されると、原告の請求内容を記した書面である「訴状」が被告に送達されることになっているのですが(民事訴訟法137条1項)、「被告の住所が知れないとき、又はその住所に送達するのに支障があるときは、就業場所に送達することができる」という内容の規定があります(民事訴訟法103条2項)。
 やはり、他人が関与する可能性が少ない、本人の住所に送るのが望ましいといえるでしょう。
 
 なお、不貞行為の証拠となるものとしては、ホテルから二人で出てきたところを撮った写真等があります。
 しかし、ホテルを利用していなくても、親密な関係にある男女がその居所で会っている場合は、その事実によって肉体関係の存在が合理的に推認されます(したがって、居所に出入りしている事実さえ証明できれば、それを証拠とすることができます)。


更新 2007年11月29日
      

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