離婚したい人も、離婚したくない人も、知ればきっと役に立つ

会社に夫の不倫を暴露!これって名誉毀損?

Q.

 社内不倫をしている夫から、離婚を迫られています。「慰謝料は払う」とのことですが、あまりに自分勝手な言い分で、納得できません。
 会社に乗り込んで、みんなの前で二人に「別れてください!」と言ってやりたいのですが、名誉毀損で訴えられたりするのでしょうか?
 夫の上司に電話で相談するだけなら大丈夫でしょうか?

(30代:女性)

A.

 名誉毀損刑法230条)が成立するためにはいくつかの条件があります。それらの条件が全て満たされたときに「訴えられる」可能性がでてきます。しかし、条文の文言をどう解釈するかについては、学者の間ではそれぞれ争いがあります。
 ここでは実務(裁判所、警察など)でどう取り扱われるのかをご説明したいと思います。

 まず、会社に乗り込んで、みんなの前で二人に「別れてください!」と言うことは、「公然と」「事実を摘示し」(同条1項)にあたります。この「事実」は、「真実」でもよいとされています。
 本当のことを言われて評判が落ちたとしても、その人の自業自得とも思えます。しかし、名誉毀損罪は、たとえ虚名であっても、現実に社会で認められている評価(外部的名誉)を保護しようとするのです。

 次に、「公然と」の要件です。「公然」とは、不特定または多数人が知り得る状態をいいます。特定であっても多数ならよいし、少人数の人が相手でも不特定なら該当します。
 また、現実に知ってしまうところまでいかなくても、知ることができる状態になれば、それでよいとされています。例えば、ある人についての名誉毀損にあたる情報をホームページに載せるなどすれば、現実にはまだ誰もぺージを見ていなくても、「公然と」に該当します。
 ですから、上司などに、あくまで相談として聞いてもらうだけなら、「公然と」にはあたらないでしょう。
 もう一つの条件、「毀損」も、社会的評価を害するおそれのある状態を作り出せば、現実にその人の評価が低下しなくてもかまわないとされています。
 他にも要件はあるのですが、このケースでは問題なく該当します。

 名誉毀損が成立すると、民事裁判で損害賠償を請求される可能性と、警察に告訴される可能性とがでてきます。
 純然たる私人間の事件では、警察は名誉毀損罪で起訴に踏み切ることまではなかなかしないと思われます。しかし、損害賠償のほうは、可能性が大です。

 今回のケースでは、二人ともその職場で働いているのですから、降格、減給などの処分を受けるか、あるいは居辛くなって辞職に追い込まれるかもしれません。そうなった場合、二人はあなたに損害賠償しろと請求してくるでしょう。そうすれば、あなたは名誉毀損をして彼らに与えた損害を賠償しなくてはならなくなります。もちろんあなたも夫とその愛人に不倫について損害賠償を請求できますが、これとはまた別の話です。
 また、会社に乗り込んだりすれば、会社の業務が妨害されたということで、威力業務妨害罪刑法234条)で会社から訴えられるおそれもあります。
 実力行使は何の得にもなりません。状況を見極め、よくお考えになって、やはり離婚止むなしということであれば、弁護士に依頼するなどして有利に交渉を進めてください。


更新 2004年5月31日
      

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